アスパラガスの連作障害を考える
10年以上も栽培を継続してくると株が老化して、収量も品質も低下してくるのが通例です。そうすると、新しい株に更新する必要が生じてきます。
一方、アスパラガスには連作障害があるといわれています。障害は作付してから数年後に発生するそうです。作付後数年間は正常に発育するのですが、収穫段階になろうとする時に生育障害が発生するというものだそうです。こんな事態になったらたまったものではありません。
ところが、アスパラガスの連作障害について「本当にあるのか?」という声を聞くことがあります。それは、連作障害の原因の一つされるアレロパシー作用について、その原因物質が今だに特定されていないことにあります。アスパラガスのアレロパシー障害を疑問視する声を種苗販売業者から聞いたことがあります。
更にアスパラガス連作障害の実態がよく判らないということにも、連作障害に対する理解が進まない原因があるように感じます。連作障害発生の実態、改植しても問題が発生しなかった実例などについての情報を得ることができないままでいます。
アスパラガスの改植は「ジレンマ」です。老朽化した圃場を前にして、この畑に連続して作付していいのかどうか判断する規範がないからです。かといって遠くに新たな圃場を設けるのは栽培管理上、収穫管理上たやすいことではありません。
2014年6月の農研機構「野菜茶業研究所ニュース51」に「アスパラガスの連作障害を回避する」(農研機構露地野菜生産技術研究グループ 浦上敦子)という特集が組まれました。
目の前の改植をしたい圃場の「連作危険度」を評価判定し、危険度の大きい場合の障害回避の対応策を紹介しています。細部は、改植マニュアルとしてウエブで公開されています。
(https://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/051696.html)
着目したのは「改植時のフローチャート」です。連作障害危険度の評価判定の規範が示されているのです。
フローでは、圃場の排水性(物理性)の保持は前提とされています。連作障害危険度の判定基準は、塩類集積度についての化学性と主体はアレロパシー・フザリウム・ウイルス・疫病についての生物性を診断するものとなっています。
危険度が評価判定できるのであればジレンマに陥ることはないと思います。画期的な研究成果と思います。
ところで、この研究成果はアスパラガス圃場の土作りに大きな示唆を与えていると思います。危険度評価のフローの各段階の要素は、土壌が保持していなければならない機能を表していると考えられます。
・物理性として;排水性(透水性)
・化学性として;塩基バランス
・生物性として;細菌、糸状菌、ウイルスの生物性バランス
廃耕し改植を余儀なくされる圃場の土壌は、これらの土壌機能がアスパラの生育を阻害するまでに低下した「劣化土壌」となっているのではないだろうか。
アスパラガス生産農家には20年を優に超えて、持続的な栽培を営む生産者がいらっしゃると聞きます。そのような圃場での特に深層土壌の形態はどのようになっているのか、ぜひ明らかにしてほしいと思います。
アスパラガスを20年以上にわたり持続的に栽培できる土壌を維持増進する。アスパラガスの改植と連作障害について考えていくと、結局は「持続的な栽培を支える土作り」に行きついてしまいました。
10年以上も栽培を継続してくると株が老化して、収量も品質も低下してくるのが通例です。そうすると、新しい株に更新する必要が生じてきます。
一方、アスパラガスには連作障害があるといわれています。障害は作付してから数年後に発生するそうです。作付後数年間は正常に発育するのですが、収穫段階になろうとする時に生育障害が発生するというものだそうです。こんな事態になったらたまったものではありません。
ところが、アスパラガスの連作障害について「本当にあるのか?」という声を聞くことがあります。それは、連作障害の原因の一つされるアレロパシー作用について、その原因物質が今だに特定されていないことにあります。アスパラガスのアレロパシー障害を疑問視する声を種苗販売業者から聞いたことがあります。
更にアスパラガス連作障害の実態がよく判らないということにも、連作障害に対する理解が進まない原因があるように感じます。連作障害発生の実態、改植しても問題が発生しなかった実例などについての情報を得ることができないままでいます。
アスパラガスの改植は「ジレンマ」です。老朽化した圃場を前にして、この畑に連続して作付していいのかどうか判断する規範がないからです。かといって遠くに新たな圃場を設けるのは栽培管理上、収穫管理上たやすいことではありません。
2014年6月の農研機構「野菜茶業研究所ニュース51」に「アスパラガスの連作障害を回避する」(農研機構露地野菜生産技術研究グループ 浦上敦子)という特集が組まれました。
目の前の改植をしたい圃場の「連作危険度」を評価判定し、危険度の大きい場合の障害回避の対応策を紹介しています。細部は、改植マニュアルとしてウエブで公開されています。
(https://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/051696.html)
着目したのは「改植時のフローチャート」です。連作障害危険度の評価判定の規範が示されているのです。
フローでは、圃場の排水性(物理性)の保持は前提とされています。連作障害危険度の判定基準は、塩類集積度についての化学性と主体はアレロパシー・フザリウム・ウイルス・疫病についての生物性を診断するものとなっています。
危険度が評価判定できるのであればジレンマに陥ることはないと思います。画期的な研究成果と思います。
ところで、この研究成果はアスパラガス圃場の土作りに大きな示唆を与えていると思います。危険度評価のフローの各段階の要素は、土壌が保持していなければならない機能を表していると考えられます。
・物理性として;排水性(透水性)
・化学性として;塩基バランス
・生物性として;細菌、糸状菌、ウイルスの生物性バランス
廃耕し改植を余儀なくされる圃場の土壌は、これらの土壌機能がアスパラの生育を阻害するまでに低下した「劣化土壌」となっているのではないだろうか。
アスパラガス生産農家には20年を優に超えて、持続的な栽培を営む生産者がいらっしゃると聞きます。そのような圃場での特に深層土壌の形態はどのようになっているのか、ぜひ明らかにしてほしいと思います。
アスパラガスを20年以上にわたり持続的に栽培できる土壌を維持増進する。アスパラガスの改植と連作障害について考えていくと、結局は「持続的な栽培を支える土作り」に行きついてしまいました。